髪にとっては最も安定して外的刺激にも強い状態です。
広告などでも「お肌に優しい弱酸性」や「アルカリイオン」などといったコピーを見かけることがあるかと思います。
物質の酸性かアルカリ性かの度合いを示すための指標として「 pH ( ペーハー、ピーエイチ、ピーエッチ ) 」というものがあります。昔、化学や物理の授業でもちょっと習ったのではないでしょうか。
「 pH 」は水素イオン濃度を示し、値が小さいほど水素イオンの濃度が高いことを表します。
1~14までの数字でpH7を中性とし、数字が大きくなるほどアルカリ性を、数字が小さくなるほど酸性を示します。
髪の毛がアルカリ性に傾くと、膨潤( キューティクルが開き、内部組織が無防備な状態 )し、酸性に傾くと収斂( キューティクルが閉まり、外的・科学的刺激に強い状態 )します。
こうみると弱酸性どころか酸性にしっかりもって行った方がよいような気がしますが、過度の収斂は内部の水分量が減少したり、うろこ状のキューティクルが密になり過ぎてキシんでしまい、逆に摩擦が多くなってしまったりします。
なので、髪にとって最も安定した値は「 pH4.5~5.5 」の弱酸性領域となります。
この値にあると、キューティクルがしっかりとしまっており、つるつると手触りもよく光を反射するのでツヤもきれいに出ます。
髪の一番表面にあるキューティクル(毛小皮)はタケノコのように根元から毛先に向かってうろこ状に重なり合いながら髪を覆っています。
髪の内部の水分・脂質・たんぱく質が流出するのを防ぎ、ブラッシングなどの外的刺激・過度の水分や薬剤などの化学的刺激から髪を守ってくれています。
髪が本来の自然な状態である弱酸性であることがむりなく、柔軟で美しい状態になります。
美容室で使用するカラー剤やパーマ剤などは、その多くがアルカリ性のものになります。最近では酸性領域のものや中性に近い成分の物も出てきていますが、ほとんどの場合、薬剤を内部に浸透させて作用させるという目的上、髪を膨潤させるアルカリ剤が含まれています。
そしてその強さによって髪への負担のかかり方も変わってきますので、美容室では髪の傷み具合、髪質や目的のスタイルによって使用する薬剤や濃度をコントロールしています。
カラー、パーマを繰り返している髪の毛へ強いアルカリ性の製品を使ってしまうと必要以上に負担がかかってしまいますので、ホームカラーを利用する際には注意が必要となります。そういう点においても、美容室でのカラーリングがオススメなのです。
カラー、パーマでアルカリに傾いた髪の毛はそのままかというと、そういうわけでもなく、アルカリ性や酸性に傾いても、空気に触れていることで弱酸性に徐々にもどろうとします。また、カラーヘア用やパーマヘア用のシャンプー・トリートメントなどはアルカリに傾いた髪の毛のpHを弱酸性に導きつつ、流出した水分・たんぱく質・脂質を補給してくれるような目的のものが多くなっています。
オシャレを楽しむためにも、上手にアイテム使いをしていきましょう。