黒染めの度合いや暗くしていていた期間にもよります。
・かなり黒くしていた場合
・白髪染めでかなり暗く染めている場合
・市販のホームカラーで黒染め・暗めのカラーにされていた場合
・元々がかなり明るい状態から、かなり暗く染めた場合
などは、きれいに明るくカラーチェンジするのは正直難しいと言わざるをえません。
もう少し細かく説明すると、一般なヘアカラー 施術で使われているものは、アルカリカラー剤(酸化染毛剤)と呼ばれ、アルカリ剤や酸化染料というものを使っています。
そのカラー剤では髪の毛に対して主に3つの作用が 行われます。
1.髪の毛を膨潤させ染料が入りやすくします。
2.「 染料 」を髪の内部で重なりあわせることで発色、定着させています。
3.それと同時に、髪の内部に元々持っている 「メラニン色素を分解する」 ことで明るい髪色にします。
そのように、 髪の色を明るくする ということは、メラニン(色素)を分解する ことなのですが、通常のカラー剤で行えるのはここまで。
つまり、 「 染料 」という色素を発色させることはできても、分解することができないのです。
だから、髪の中にメラニンがしっかり残っていて、そこに少しの染料が入っていることで黒いのであれば、明るくなりえます。
しかし、メラニンが少しし残っていない(=かなり明るいor白髪)状態に、たっぷりの染料をいれることで黒くしていると、明るくならないのです。
むしろ、より暗くなる可能性も。
どちらにしろ、染料が邪魔をして希望通りの明るさにはなりにくい状態です。
もっと突っ込みます。
では、染料を分解することはできないのか。一応、できます。
メラニンを壊す薬剤は 脱色剤 、染料を分解するのは 脱染剤 という異なる薬剤を使用することになります。
いわゆる通常のカラー剤には明るさに応じてパワー調整された脱色剤が含まれていますが、染料を分解することはできないので思ったような明るさには持っていくことが出来ません。
ブリーチと呼ばれるものはかなりハイパワーの脱色剤でできていますが、こちらも染料は分解することができず、残留します。脱染剤または脱色脱染剤を使用することでようやく染料を破壊することが出来ます。
黒染めや暗めの白髪染めの場合、重合させている染料の量も多く、様々な色相を混合させて暗くしていることが多いので、脱染剤を用いても一度できれいに分解しきることが難しくなっています。
さらに染料の入っていない地毛部分とのリフト差と色味の差も発生するので、一度染料を分解してからもう一度色味を被せて全体を整えるといった工程になることが多いです。
薬剤にふれる回数,時間が多いほど髪はダメージを受けやすくなるので、ダメージケアの観点から言ってもあまりお勧めはいたしません。
黒染め・暗めのカラーから明るくしたい場合(ダメージをおさえつつ)は、染料が自然流出・分解されて明るくなるのにあわせつつ根元を徐々にリタッチでリフトしていくか、ハイライトやウィービング、スライシングといったポイントやデザインカラーで明るい部分をつくって全体に混ざったとき明るく見えるようなカラーリングをしていく方法がおすすめです。
ただし黒染めや白髪染めの度合いや現状での染料の残留程度により、通常のカラー剤で対応できる場合もありますので、まずはスタイリストと相談してみてはいかがでしょうか。